紅白ではあいみょんの中のルカワに注目することに決めた

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マリーゴールド

 

前回の記事では、ナウでヤングな女性の魂の代弁者、あいみょんの溢れんばかりの才能について、アラサーの男が若干の抵抗と恥じらい、プライドが混ざり合った結果おぞましいほど気持ち悪い文章で赤裸々に、全裸で綴った。 

 

 

さて、そんな若い女性のソウルスクリーマーこと、あいみょんが紅白歌合戦にでるらしい。披露する曲は前回の記事でも絶賛した「マリーゴールド」。

 

この選曲は妥当だろう。もし、私が選曲を任されていたとしても、「マリーゴールド」にしただろう。“女子中高生に”人気の女性シンガーというイメージがあるかもしれないが、この曲のノスタルジックな雰囲気は、世代の垣根を越えて心に響くものがある。

 

ただ、もし“「マリーゴールド」以外の曲”という条件がつけられたとしたら、私は「ほろ酔い」を推薦するだろう。

 

父、母、年頃の娘とおばあちゃんで年越しそばを食べながら、紅白歌合戦を観る。模範解答のようなニッポンの大みそか。

 

娘「おばあちゃん、あいみょん知ってる?」

 

おばあちゃん「あいにょう?あいみょ?」

 

娘「あ、い、みょ、ん!ほんとに歌詞がいいから、おばあちゃん今日聴いてね」

 

おばあちゃん「毎年新しいのがどんどんでてくるねぇ」

 

娘「そういえば何唄うんだっけ?「今夜このまま」?「君はロックを聴かない」だったかなぁ。まぁいいや、ほらッ、あいみょん出てきたよ!ちょっとお父さん、静かにしてっ」

 

テレビの中に姿を現したあいみょんが、全身全霊の声量をもって

 

 

 

ほろよいのぉぉぉおお、ままぁぁあでぇぇえ

 

と唄い上げた日には、おばあちゃんは目玉をひん剥いた後に、卒倒するだろう。

それほどの威力があいみょんと「ほろ酔い」には備わっている。

 

 

 

待ってくれ。誰なんだ、この男は

どの立場から“この選曲は妥当だろう”などと語っているのだろう。

なぜ “「マリーゴールド」以外の曲”という条件を勝手に付した上に、世のおばあちゃんの卒倒を目論んでいるのか。全くもって謎である。怖い。

 

気色悪さ、ここに極まれり。

 

ということでそろそろ、本題に入りたい。

 

私があいみょんをまともに聴いたのは前回の記事を書く少し前。今から10日ほど前。この10日間という限定的な期間においては、あいみょんの曲再生回数選手権で全国上位入賞はかたい。

 

そんな私が紅白歌合戦で、あいみょんの「マリーゴールド」のどこに注目するか紹介したい。

 

結論からいうと、「マリーゴールド」で注目すべき点はあいみょんの中のルカワ。

 

画面を閉じる前にちょっと待ってほしい。順を追って説明すれば、きっとわかり合えるはずだ。

 

「マリーゴールド」という名曲が名曲たらしむ理由は、歌詞、メロディ、そしてあいみょんの表現力の3点が絶妙に相補する形をとっているからといえる。

 

歌詞の素晴らしさについては前回の記事で絶叫した通りである。
今回注目したいのは、あいみょんの表現力。素人として安易に言い換えてしまえば、その歌い方だ。「マリーゴールド」を唄うあいみょんにはある特徴がある。

その特徴こそが私が意味するところのあいみょんの表現力のすばらしさであり、あいみょんのルカワ性だ。これは極めて短期間のうちに、複数の音源から「マリーゴールド」を聴いた私だからこそ発見できたといっても過言ではないだろう。

 

あいみょんのルカワ性とはなにか。

 

それは曲の随所に現れる。

 

例えば、

 

「もう離れないで」と

泣きそうな目で見つめる君を

 

というフレーズがあるが、私は毎回この“君を”の部分でクラっとさせられる。
なぜクラっとするのか?


私はここを

 

きぃ~みを~


と唄うと思い込んでいるのである。


しかしあいみょんは一瞬、曲の歩みを止める。

 

きッ みぃを~

 

なのである。

ノスタルジックなメロディの中に訪れる0.1秒にも満たない静寂。

動から静。そして次なる動。

 

これを私はチェンジオブペースと呼びたい。いや、呼ばせていただこう。


このチェンジオブペースはスラムダンクの作中で強敵、仙道からルカワが得点を奪う際に使ったテクニックである。ドリブルのペースを突然変化させ、ディフェンスを掻いくぐりシュートを決める。全国大会出場の切符をかけた試合の後半、ルカワと仙道の熾烈な攻防が繰り広げられる名場面の皮切りとして描かれている。

 

話をあいみょんに戻そう。

素人目に分析してみると、このチェンジオブペースは、あいみょんとバックバンドの方々が生み出す曲のテンポによって左右されていると予想できる。つまり、テンポが早ければチェンジオブペースは0.08秒になるだろうし、逆であれば0.12秒にもなり得るだろう。

つまるところ、その日のあいみょんとそれを支えるバックバンドの調子がチェンジオブペースの中に凝縮されるのである。

 

そしてまれに、

 

きッ みぃを~

 

のはずが、

 

きぃ~みを~

 

と唄うことがある。なんということだ。

チェンジオブペースの中で、微妙に強弱をつけるだけではなく、チェンジオブペースしない、オフ・チェンジオブペースまで交えてくるのである。チェンジオブペースが頭に入っていることで、チェンジオブペースせずに唄うことが逆にアクセントになり得る。このテクニックの高さはまさにルカワのそれである。

 

しのぎ切れるだろうか。初出場の緊張と興奮がまざりあったあいみょんが唄う「マリーゴールド」を果たして私は無事聴き切ることはできるだろうか。

 

一抹の不安を抱えつつも、紅白歌合戦では、あいみょんの中のルカワに注目することに決めている。

 

本題はここまでなのだが、蛇足承知でもう少し書きたい。

今回のブログでは、あいみょんが「マリーゴールド」の曲中で、ルカワと同じチェンジオブペースを使っていると語った。

 

このことを式にすると、

 

あいみょんのテクニック = ルカワのテクニック

 

と表現できるだろう。そして、両辺から「のテクニック」を引くと

 

あいみょん = ルカワ

 

一方で、偶然とは言え私があいみょんを聴き、その魅力をブログにしているのはおそらく、あいみょんの歌が私に響いているからだろう。つまり、私の中にはあいみょん、あるいはそれに準ずる女性がいる。

つまり

 

あいみょん ⊂ 私

 

よって、前述の式から

 

ルカワ ⊂ 私

 

そうか。私の中にもルカワは存在したのか。。。

 

 

 

ミーン、ミンミンミンミンミンミーンッ

 

うだるような暑さ。

 

テスト期間中。

 

誰もいない放課後の体育館。

 

高2の夏 。   

                       

ダムダムダムダムッ

キュキュキュキュキュキュッ

スッ

(スカッ)

 

テストそっちのけで練習するも、全然上手くならないドリブル、シュート。一連の流れの中にはまるでセンスが感じられない。

 

ルカワになんなんかなれやしねぇ、結局マンガの中の話か

 

不貞腐れたあの日の自分が10年の時を経て、今あいみょんを通じてようやく成仏できたような気がします。ありがとう、あいみょん。

 

。。

。。。

 

 

 

 

と思ったら、私はバレー部員でした。

テスト期間には誰よりも早く帰るも、すぐには勉強せずにだらだらと漫画を読んでしまうタイプのバレー部員でした。

 

その漫画は高確率で「スラムダンク」だったのです。

年末実家に帰ってくると読み返しちゃうよね。面白れぇぇ

 

おわり