ガラタ橋はつなぐ

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人はなぜ橋を作るのか。

 

何かと何かをつなぐためだ。

 

例えば川で分断された2地点をつなぐために橋は建てられる。

 

また、「○○さんはA社とB社をつなぐ架け橋だ。」

 

などと表現されたり、

 

「誰にも見せない涙、人知れず流した涙

そんな苦難の日々こそが、栄光への架橋となる」

 

などと唄われたりするように、精神的な面でも橋という言葉が使われる。

 

 

私は橋の名前なんてほとんど知らないし、ましてや何かを語れる知識も全くない。

 

 

しかし、上で述べたことに沿って橋を考えたとき、極めて橋的な橋を私はひとつだけ知っている。

 

 

 

トルコはイスタンブールのガラタ橋。

 

ガラタ橋が極めて橋的な橋であることを説明するには、

 

まずイスタンブール、特にガラタ橋周辺について説明しなければならない。 

新市街

トルコの中心都市イスタンブールは「アジアとヨーロッパの交差点」と表現される。

 

そしてイスタンブールは、ボスポラス海峡という海峡により、

 

西側のヨーロッパ側と東側のアジア側に分断される。

 

 

ヨーロッパ側のボスポラス海峡に面したエリアにガラタ橋はあり、

 

ガラタ橋を挟んで北側が新市街、南側が旧市街と呼ばれている。

 

 

空港からシャトルバスでタクシム広場というところまで行くことが出来たはずだ。

 

タクシム広場からはイスティクラル通りを通って南下すると、

 

新市街の雰囲気を存分に味わいつつ、新市街の観光スポット、

 

ガラタ塔まで坂を下りながら向かうができるのでおすすめだ。

 

 

この通りには、ケバブ料理屋はもちろんのこと、

 

おしゃれなカフェやアパレル系の店があったり、

 

カフェテリアのテラス席でトルコ人がなにかを語り合っていたりする。

 

新市街というだけあって、とても今風のお店が多くある。

 

通りに面した店のガラス越しには、パイのようなスイーツが並べられていたり、

 

色とりどりの宝石のようなお菓子が置かれている。

 

いずれも日本では見かけたことのないもので、

 

見た目のきれいさに加えて、どんな味がするんだろうという好奇心も相まって、

思わず立ち寄ってしまう。

 

 

通りの真ん中には、トラムヴァイという路面電車が通っており、

 

真っ赤な色をした一両編成のそれが、歩くより少し速いスピードで走っているのがレトロな雰囲気を醸していてなんとも心地よい。

 

 

そうこうしているうちにガラタ塔が現れる。

 

ガラタ塔の上部は展望台になっていて、そこまで高くないが斜面に塔が建てられているので視界もよく、イスタンブールの街並みを360°まるっと見渡すことができる。

 

「その昔、ガラタ塔からボスポラス海峡を越えてアジア側まで飛んでいった男がいる」

 

と、現地の人が教えてくれた。

 

 

これが、トルコ人のジョークか

 

と当時は全然信じていなかったが、調べてみるとあながちジョークでもないらしい。

 

 

店頭に並べられた鮮やかなオレンジやザクロをそのままジュースにしてくれたり、

 

狭い店にびっしりと重ねられた鮮やかな色で塗られた食器類や

 

マグネット、ポストカードなどを売るお土産屋を眺めながら、さらに坂を下っていく。

 

突如現れる猫にあいさつなどしながら、少し歩くと一気に視界が開けて、

 

 

ガラタ橋が現れる。

ガラタ橋

新市街と旧市街をつないでいるのがガラタ橋だ。

 

ガラタ橋はとても大きい。

 

橋の上をトラム(路面電車)が走っているし、車も通る。

 

両脇は歩道になっていて、歩いて渡ることも、もちろん出来る。

 

構造は二階建てになっていて、橋の下にはレストランで人々が賑わう。

 

新市街と旧市街の行き来をする観光客や現地人、

 

橋から長い釣り糸を垂らして釣りをする人、

 

どこから持ってきたのかガラスのカップに入ったチャイを飲みながら談笑する人、

 

たくさんの人とすれ違いながら歩を進める。

旧市街

ガラタ橋を渡って旧市街に入ると、雰囲気は一変する。

 

とても歴史的な雰囲気が漂い、街全体がトルコを語りだす。

 

まず紹介したいのが、

 

「スルタンアフメット・ジャーミィ」、通称「ブルーモスク」。

 

モスクとはイスラム教の礼拝堂を指す。

 

ブルーモスクはドーム状の形状をしていて、ドームの周りをミナレットという背の高い塔が囲む。

 

ジャーミィとはトルコ語で、金曜礼拝が行われる大規模なモスクを指し、

 

イスラム教徒の多いトルコにとってはとても重要な場所となっている。

 

見た目の壮大さは言うまでもないが、宗教的な意義も大きい。

 

観光客でも中に入ることが出来る。

 

ブルーモスクを訪れたなら、外から眺めるのだけでなく、是非とも中に入っていただきたい。

 

床一面には絨毯が敷き詰められ、

 

天井が高いせいか、ライトがやけに低く感じられる。

 

壁には多くのステンドグラスがあり、陽の光で輝くそれはとても綺麗だ。

 

天井や壁の他の箇所に目を写すと、モスクの壮大さとは対照的に、

 

装飾がとても緻密で思わず息を呑む。

 

とにかく青が映えている。

 

濃淡様々な青があり、それはもはや青であって、青ではない。

 

色とりどりの青。

 

青という言葉で括ってしまうのは、あまりにも稚拙だと思ってしまうほど、

 

様々な青がそこにはあり、ただ残念ながら私は青という言葉でしかそれを表現出来ないのがとても歯がゆい。

 

感受性に乏しい私でも思わず、

 

「おぉ、すげぇ」

 

と声を洩らしてしまうほどだ。

 

旧市街散策はまだまだ、続く。

 

世界史に疎いので詳しくは分からないが、博物館「アヤソフィア」は元々、

 

大聖堂として建てられ、モスクに改築され現在では博物館として利用されている。

 

自らが歴史そのもののような博物館をこのアヤソフィアのほかに知らない。

 

 

「地下宮殿」に一度足を踏み入れると、ひんやりとした空気と背の高い柱がずっと続いていて、

 

ゲームの世界にでも迷い込んだかなと錯覚する。

 

元々、貯水池と使われていて今でも地面には水が張られている。

 

薄暗い中、天井から滴る水に驚いたりしながら最深部まで歩くと、

 

そこにはメドゥーサが出てきて、やっぱりここはゲームの世界だったんだと安心する。

ガラタ橋はつなぐ

モダンな雰囲気漂う新市街と、歴史的雰囲気漂う旧市街。

 

性質の異なる2つの街が極めて狭い範囲に存在している。

 

どちらか1つだけをとっても観光地として、とても魅力的であり、

 

どちらも決して自身のスタイルを曲げることも、相手に歩み寄ることもしない。

 

水と油

 

とまでは言わないが、本来であれば相容れないはずの2つの街。

 

しかし、イスタンブールの新市街と旧市街は不思議と心地よい。

 

決して混沌を感じさせない。

 

なんというか、調和している。

 

 

 

 

 

旧市街から新市街へと戻ろうと、再びガラタ橋を渡る。

 

先程チャイを飲みながら談笑していた男性は、他の男性と何かを語り合っている。

 

釣りをしているおじさんは相変わらず釣り糸を垂らし、

橋の上にあぐらをかいている。

 

アジアとヨーロッパの交差点と言われるイスタンブールにおいて、

 

モダンとヒストリカルが共存するエリア。

 

新市街と旧市街。

 

極めてポテンシャルが高いが、決して混ざり合う事のない2つのエリアをきれいに結びつけ、

 

イスタンブールという1つ大きな視点でさらに魅力的なエリアに落とし込む。

 

 

きっとそれがガラタ橋なんだな。

 

 

ガラタ橋の手すりに肘をつけ、サバサンドのサバ臭さに驚きながらそんな事を考えていた。

 

 

どのコミュニティに身を置いてもどこか他の場所を探していた大学時代において、

 

とても居心地のいい時間が流れた場所。

 

 

橋の下の方では、必死に何かを語り合う人々、陽気な笑い声や歌声が聞こえてくる。

 

 

ふと視線を上げると、白いカモメが風に乗り、気持ちよさそうに飛んでいた。

 

 

 

その先に広がる空は、少しだけ雲がかかって、それでいてきれいな青色をしていた。

 

 

 

そう、それが私の

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アナザースカイ 

おわりに

この記事はTwitterのブロガー界隈で爆発的な人気を誇る

【3000文字チャレンジ】という企画に参加して書きました。

 

企画といってもルールは至ってシンプル。

 

・あるテーマで3000文字以上(今回のテーマは『橋』)

・画像、動画及び文字装飾なし

・否定&批判コメントなし

SNS界のアンダーグラウンド、Twitterの中のそのまた奥深く

とても面白いブログがゴロゴロ投稿されています。

 

仕掛け人はこのお方。

自身もブログを書きながらYouTubeでラジオを配信までしちゃう強者。

ブログもさることながらラジオも人間味が出ていて面白い。


 

というわけで、今回のテーマである『橋』について書きました。

 

さらにイスタンブールという観光地の魅力について語ることで

ひそかに、前回テーマの『おすすめ』も内包してるという

 

ハイブリットな記事、

なおかつノスタルジックでいてトレンディ、

 

スパイシーでスウィーティーでありながら、

 

ハードボイルドでゴシックロリータ、

そんなブログにおけるファッションモンスターな記事を書きたかった訳でありまして、

 

決して、旅行の記事を書きたいのに、写真が全く見つからず困り果てた末に、

企画に乗っからせていただいた、などという低俗な理由で書かれた記事ではないことを、読者の皆様には理解しておいていただきたい。

 

おわり