King Gnu『傘』感想と歌詞に対する利己的な解釈

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傘

 

 

King Gnu 新曲『傘』

King Gnuの新曲『傘』が発表されました。前作の『飛行艇』の発表から2か月も経っていないことも驚きだけど、さらに驚くべきことにまたしても名曲。至高の1曲。

 

 

『傘』を聴いて感じたことは、恋愛で自分が思い描いていたような関係にはなれなかった人のリアルな日常。

 

ポップなラブソングだったら、失恋したことの深い悲しみだったり、パートナーに対する未練だったり、あるいは新しい恋に向けて立ち直ろうとする心情が詩になっているように感じるけれど、『傘』に感じるのは失意の中にいようが、なにが起ころうがやってくる日常。残酷なまでの日常。

 

『傘』で歌われている世界は、繰り返して見ると胸焼けを起こすような救いのないもののように見えるけれど、メロディーと一緒に聴くと何回も何十回も聴きたくなる様な曲になっているのがking gnuのすごいところ。気づいたら口ずさんじゃう中毒性。最高。ヅ ウェウェ チャッツチャチャチャ

 

そんなking gnuの『傘』の歌詞について自分の感じたことや解釈について書いていきたいと思います。

 

Aメロ 

3回目のアラームで ようやく起き上がれそうな朝

眠い目を擦りながら 顔洗って コーヒーを流し込め

 

恋人と思い描いていた様な関係にはなれなかった絶望。そんなことお構いなくやってくる朝。
アラームが3回鳴って体は起き上がっても、頭は目覚めちゃいない。コーヒーを「流し込む」のではなくて、「流し込め」。自分で自分に命令してようやく目覚める朝。絶望が服着て歩く。

 

Bメロ 

運命なんてハナから 信じきれやしないよな
深読みのし過ぎばかりじゃ 満たされやしなくて

もっと話したいんだ もっと近づきたいんだ
遠くで眺めていたくは無いよな どんな時だって

 

ここはちょっと視点が違くて、恋人との関係性にまだ希望を抱いていた頃。絶望する前。勝手な深読みで不安は募るし、満たされない。でもそんな時でも、もっと話したいし、もっと近づきたいと思っている。

 

サビ

さよなら ハイになったふりしたって
心模様は 土砂降りだよ 傘も持たずにどこへ行くの?


あれこれ 不安になったって どうしようもない ”運命でしょ?”
曇りガラス越しのあなたには もう何も届いちゃいない


ただ自分が思いを募らせるほど、恋人に感じるのは距離。気づけば恋人との間には曇りガラス。いっそ壁が出来ていれば、相手のことは見えないのに、残酷にもそこにあるのは相手の輪郭だけを捉えることができる曇りガラス。そして恋人には自分の声はもう届かない。自分にできることは、そういう運命だと受け入れることだけ。心の中は土砂降り。あるのは絶望。

 

Aメロ 

ガラス片を避けながら 直行直帰 寝落ちる毎日さ
満員電車に息を潜め 鳴り響いたベルが発車の合図さ

 

それでも続く日常の中で、すれ違う人達の中に見えるのはガラス片。 一見綺麗に映って見えるけど、いざ触ろうもんならケガをする。これから誰かと新しい関係を築くことなんて出来ないんじゃないかと思えてくる。そんな毎日の繰り返し。自分を動かしているのは自分ではなくて、無機質に鳴り響く発車のベル。

 

Bメロ 

つないだ手確かめた 確かに僕らここに居たのさ
寄せては返す波の中を 必死に立っていたんだ


ゴールなんかありはしないよな ただのレースとは違うよな
巷で流れるラブソングのようにはいかないね

 

そんなクソみたいな世界でも確かに僕らはいたはずだけど、手を繋いでいたはずだけど、よく聴くラブソングのようには人生は流れていかない。ましてやゴールなんて見えないし、終わりはない。

 

Cメロ 

結局は愛がどうとかわからないよ未だに


そう言い放った自分の頼りない背中を見た

 

いくら日常を繰り返しても、どうすることが正しかったのかなんて分かりゃしない。ただ1つ分かったことといえば、今の自分の背中はひどく頼りないということだけ。

 

こんな絶望だらけだと、どこかにこっそり「でもやまない雨はないんだよッ☆」的なメッセージを入れてしまいそうだけど、絶望を絶望のまま描き切っているのが最高だし、こんだけ絶望まみれなくせに何度も聴きたくなるメロディーラインになってる『傘』はまじで最高。


それからKing Gnuで雨といえば、隠れた名曲、聴く映画こと『サマーレイン・ダイバー』も最高だから聴いてみてください。