「嫌われる勇気」を読みました。悩んでいる時に読んでほしい一冊。
「嫌われる勇気」
「嫌われる勇気」という本をご存じだろうか。
著者は岸見一郎氏と古賀史健氏で、少し前にビジネス書の大ベストセラーとなったので知っている方も多いと思う。
ビジネス書はそんなに読まない僕だが、最近仕事に行き詰まりを感じていたため、気分転換も含めて手に取ってみた。
結論から言うと、「嫌われる勇気」を読んでとても良かった。
少し大げさな言い方をすると、くもりがかっていた視界が開けるのを感じた。
ある種の悟りを開いたと言ってもいいかもしれない。
まだ読んでいない人で何かに悩んでいることがある人はぜひ手に取ってみてほしい。
アドラー心理学
「嫌われる勇気」ではアドラー心理学を、悩み多き青年と哲人の2人の会話を通して、語られている。
物語調なので、アドラー心理学はおろか、心理学についてはほとんど無知の僕でも、すんなりと読むことができた。
心理学というとなんだか難しい気がするが、この本では『物事のとらえ方』が語られている。
本書には、「どうすれば人は幸せに生きることができるのかという問いにシンプルかつ具体的な答えを提示する」とあるが、そこまで大袈裟でなくても今自分の置かれた状況に対する考え方を学ぶことができる点でとても有用だ。
本の中には様々な事例を通して、アドラー心理学が説かれているが、「原因論」と「目的論」という考え方について知れたことが、今の僕には助けとなった。
自分が置かれている状況は自分が望んだもの
今不幸に感じるのはお金がないからだと考えるのが「原因論」的なとらえ方。
この原因は「お金」である必要はもちろん無くて、「恋人」かもしれないし「生きがい/やりがい」、「時間」かもしれない。
時間さえあれば好きなことができるのにと嘆く。
一方で、アドラー心理学では今自分が置かれている状況は自分がそうしたいからそうしていると考える(目的論)。
現状が現状なのは過去とは関係なく、何かの原因があるわけでもない。ただ、自分がそうあることを望んでいると考える。
抽象的なので具体的な例で考えたい。
僕の上司の仕事ぶりは客観的に見てひどい。
やることがたくさんあり忙しいのは間違いないとは思うが、家の近くのラーメン屋の話など仕事に関係ない話を延々している。
談笑が悪いとは言わないが、談笑ばかりで部署内外問わず、上司に来る仕事の進捗や納期に関する問い合わせに対して結構な頻度で「忘れていました」や「記憶にありません」といった不祥事を起こした政治家の様な返答をする。
他にも挙げればきりがないが、簡潔にいうと話が冗長で要領を得ず、納期に対する感覚が軽薄。納期ギリギリ、または過ぎてから仕事を振られることがある。
もちろん僕含め部署の人は何度も本人に注意をしたし、上司の上司にも伝えているが、一向に変化が見られない。
こんな状況に対して、全然仕事をマネジメントしてくれないので仕事が進まないし、やる気も出ないと思っていた。
なんで上司は全然仕事をしないのだろうとイライラしていた。
これが原因論的な考え方だろう。
しかし、もっといい上司なら~なんて考えていても何も変わらないのである。
上司が仕事をしないから自分の仕事が思う様に進まないのではなく、仕事をしたくないという目的があって、そのもっともらしい理由として上司が仕事をしないと言っているだけだというのが目的論の考え方なのである。
上司が仕事をしようがしまいが、自分はできることをやらなければいけないし、出来ることをやるしかないのである。
周りの環境のせいにして、自分が仕事をしなくていい理由はどこにもないのである。
もちろん全てが全てそんなにシンプルに考えられはしないけれど、それでもこの考え方は幾分僕を楽にしてくれた。自分がコントロールできることに集中しようと思えたのである。
手札に望んだカードがないことを嘆くのではなく、配られたカードでどうゲームするかに集中することが大切なのである。
ここに書いたのはほんの一部で「嫌われる勇気」には、他にもたくさん日常の出来事に対するとらえ方のヒントがある様に思うので、まだ読んでない人はぜひ手に取ってみてほしい。